あそびの王国物語 ありまふじカミナリの子
 (絵:藤本美紀)

 昔から有馬富士の地域は、雷が多いことで有名で、三田の桑原地区にある欣勝寺
(きんしょうじ)には、「雷井戸」の民話「くわばらくわばら欣勝寺」が残されています。

あそびの王国の遊具は、この民話をもとにしてつくられた物語
「ありまふじとカミナリの子」をテーマに、デザインされています。
   むかしむかし、そのむかし、いたずらものの雷の子がおりました。
   雷の子はいつものよう雷をならし、風をふかせ遊んでいます。

 (雷の子) 「雷だいこやドドーンドン!雷かがみでいなびかり。
   ピカッピカッピッカッカァァ!おもろい、おもろい!
   もっともっとたたいたろぉ!
   ゴロゴロ、ピカピカ、ゴロピカシヤーン!」
 (雷の子) 「村のものどもが逃げまわっておるわ!アッハッハ。」 
   
   ありまふじのふもとでは、雷と大風におそれて村人たらが
   にげまどっています。
 (雷の子)「ゴロゴロピカピカ、ゴロピカシヤーン!」
   雷の子は、さらにおおあばれ。

 (雷の母)「それそれそんなに調子にのりすぎたら…」と
   お母さんが注意をしても、
 
 (雷の父)「こらこら、ふざけたらあかん」とお父さんが注意をしても、

   雷の子は言うことをききません。
   調子にのって手を大きくふったひょうしに、パチが手から
   はなれてしまいました。

 (雷の子) あっ!しまった、まてまて−!」

   バチを追いかけた雷の子は、うっかりして雲のきれめから、
   まっさかさまに落ちてしまいました。

 (雷の子)「わあぁぁぁぁ」
   バリバリバリ、バッシャーン!!  ひときわ大きな音をたてて、
   ありまふじのふもとの村に雷がおちてきました。
   村人たちは、おそろしくて、だれも家から出てきません。

 (村人)「きっとおそろしいばけものが村に落ちてきたんじや。
   家のそとにでたら食われてしまうぞ、おそろしや、おそろしや」

   村に落ちてきたのは雷の子でした。雷の子は、村のなかをうろ
   うろして、迷路のような路地に迷いこんでしまいました。

 (雷の子)「お−い。助けてけろ−。助けてけろ−」
   その声は、家の中にいた村の人たらにも聞こえました。
 (村人)「はて、どこぞから声がする」
 (雷の子)「お−い、助けてけろ−。助けてけろ−」
 (村人)「おまえはなにものじゃ。」
 (雷の子)「わいは雷の子どもや。
   雷を落しておったら、足をふみはずして落ちてしもたんや」

 (村人)「雷を落しているのはおまえなんか」
 (雷の子)「そや、わいや」

 (村人)「ひや−!」
   村人たちは、こわがって逃げていってしまいました。
  雷の子どもは、路地をさまよいつづけました。壁をのぞきこんだり、
  高いところへのぽったり。けれども、出口がまったくわかりません。
  そのうら、泣きはじめてしまいました。

 (雷の子)「助けてけろ−、ワーンアーン。
   おっと−、おっか−、助けてけろ−、
   ワーンアーン。」
  雷の子の声がだんだん小さくなっていきました。

 (雷の子)「助けてけろ−、ワーンアーン。」

  村の人たらはかわいそうに思いましたが、いつも好きほうだい
  雷を落とし、おへそまでとろうとする雷の子を簡単に
  許すわけにはいきません。
 (村人)「おまえみたいな悪さばっかりしているやつは、ずっとそうして
   おるがええ」
 (雷の子)「いややいやや、なんでもいうこと聞くから助けてけろ−。」

 (村人)「この有馬富士のふもとの村は、米をつくり、山の木を育てて
   生活をしておる。 それなのに、おまえが雷ばかりで雨をふらさん
   から、ひでりと山火事でたいへん迷惑をしておるんじや。

   おまけに、少ない作物をいのししが食うちまいよるしのぅ。
   もう、この村には雷は落とさんで、ちゃんと雨を降らすと
   約束するなら、許してやってもええがのぅ」

 (雷の子)「うん、わかった。この村へは二度と雷落せへん。
   雨もちゃんとふらすし」
 (村人)「ほんまやな」(雷の子)「はい。約束する」
   村人たらは雷の子を許してやり、雲の上にのぽれるよう
   ありまふじの山の頂上まで連れていってやりました。

 (雷め子)「皆さん。ごめんなさい。ありがとう。」 

   と言って、お母さんとお父さんの待つ雲の上へと
   のぼっていきました。
   その夜、雷親子の食卓では、お母さんが用意した
  
   おみそ汁、お魚、おもち、おひついっぱいのごはんを、

   おなかいっぱいに食べながら、

   雷の子は、今日あったことを全部話しました。
   そこで、雷のお父さんは、いたずらものの子どもを
   ゆるしてくれた村人たちへのお礼に

 (雷の父)「わしは、村人たちの大切にしているありまふじや
   村人たらの生活をこれからずっと見守っていくことにしよう」
   
   と言い、

   ありまふじをずっとずっと見守つてくれるようになりました。
 (雷の子)「ピカピカ、ドンドン、ピカドンドン、雨やふれふれ、
   ゴロピカドン。」

 (雷の父) それそれ、そんなにきつうたたいたら、村人たちが
   こわがっと るやろ」

 (雷の子)「あっ、ごめんなさい」

 (雷の母)「村の皆さんにお礼をいいながら、たいこをならすのよ」
それからというもの、ありまふじのまわりでは、雷はなっても、落ちることはなくなり、
そして恵みの雨がたっぷりふるようになったそうです。

また、雷の音におどろいて、いのししのいたずらがへり、村では豊作がつづくようになりました。 
                                                《おしまい》
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